画師日鑑

お絵かきを生活の糧としている人の思考拠点。

仕事場へ行く前に、東京ステーションギャラリーの「鴨居玲 踊り候え」を見てきました。



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鴨居玲は受験生に好まれる作家だと伺いましたが、例に漏れず私も高校時代に予備校の蔵書でこの作家を知り、それ以来暫く食い入るように図録を見、随筆などの関連書籍を読み漁りました。

バルデペーニャスに大根がないので日本から種を持って行ったら村の人たちがカブと交配させてしまい、しかもそれが定着してしまったといったような話や、また、愛犬チータが亡くなった際、動転したのか姉の羊子が駆けつけたときにはいつの間にか大穴を掘ってチータを埋葬し、その上に座り込んで大声で泣いていたという話も忘れ難く印象に残っています。

しかし実際の作品を見たことは数えるほどしかありませんでした。今回の展示で、手際よく重ねられた絵の具の色と質の美しさに改めて油画の魅力を感じさせられました。

作品数が多くかなり手狭な感じがしましたが、東京ステーションギャラリーならではの東京駅創建当時の古煉瓦が剥き出しになった壁に、どんと、しかしぼうっと浮かぶ「1982年 私」を眺め、重低音で鈍く響く電車の走行音に気づいたとき、鴨居玲作品とこの場所がとてもマッチしていると思いました。 

キャプションが非常にお節介で、「そこは鑑賞者が感じたり考えるところなのだから、どうか黙っていてくれ!」といらいらする場面が十回ほどあったのがちと残念でした。

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今年の夏に埼玉県長瀞の宝登山神社奥宮を訪ねた際、奥宮のすぐ隣にある茶店に長年お勤めしているというおばあさんから、ある興味深いお話を伺いました。


曰く、「もう何十年も前のことになるけれども…以前白と黒のおおかみさまを見たことがありますよ。私はおおかみさまだと思っているんだけど」とのこと。

どうも物事を現実的に考えがちな私は、とっさに数十年前ならばもうニホンオオカミはいないであろうから、おばあさんが見たのは恐らく野良犬だろう、しかしだとしたら狂犬病が怖いな…などと無粋なことを考えました。しかしおばあさんにお礼を言って奥宮からロープウェイ山頂駅まで山を降りる間、おばあさんがお話し下さったその「おおかみさま」は、たとえオオカミが生きていた頃の目撃証言であろうと、今日の目撃談であろうと、実際のニホンオオカミというよりは、ニホンオオカミのようなもの、そのような姿をしたこの山の気とでも言うべきものなのかもしれないな…などと思い、自分の考えの狭さを反省したのでした。

…ともすると私はとても貴重な人とお話できたのかもしれない…! 


When I visited Hodosan Shrine in Saitama Prefecture and met an old lady who have served for a tea house in top of the mountain for decades, she told me she had encountered a pair of black and white wolves which are she believes "Ohkami-sama" (The Wolf Gods). I do believe they are still living in people's mind today. 

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紙に鉛筆
31x31cm, 2011-2013

これまで度となく狼信仰に基づいた絵を描いてきましたが、描けども描けども飽きることがありません。
その中で、これは三峰神社と宝登山神社で頂いたオオカミのお札、そして三峰分社と思われる地元の鎮守の歳神さんを乗せておくための、神棚的な絵として描きました。いずれの神社も関東にある神社ですが、画中の植生は100%福島県会津は裏磐梯に取材しています。会津に狼信仰ってあったのかなぁ。

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